最近人にこの話をするようになって、ようやく区別がつくようになってきたのだけれど、私は長いことフォークとナイフの区別ができていなかった。正確にいうと、ナイフが何を指しているのかはすぐ分かるのだけれど(「鋭利な感じ」がする方のやつですね)、「フォーク」と聞いても何も思い浮かばないのだ。直接リンクが張られていないとでもいった感じである。


そんな「フォーク」なのだが、長年の間に自然と身についた思い浮かべ方がふたつある。ひとつは「フォークとナイフ」と考えて、「ナイフ」ではない方が「フォーク」とするやり方。もうひとつは野茂英雄投手を思い浮かべて、すとんと落ちるボールの軌跡に似た形の方、と考えるやり方だ。


長い間、このやり方で問題なく「フォーク」を認識することができていたので、「フォーク」とフォークがうまく関連付けられてないということに最近まで気づいてすらいなかった。気づいてからは、少しずつだが、面倒な手順を踏まなくても、「フォーク」を思い浮かべられるようになってきたと思う。


最近、気付いたのはエレベーターとエスカレーターの区別もついていないということだ。


口に出して言わなければならない時は、いつもハラハラしている。しかも、たいていあてずっぽうにどちらかを口にして、どうやら時々間違えているらしい。暗闇の中での跳躍である。困ったことに、エレベーターとエスカレーターはどちらも「長く延びる感じ」なのでナイフ・メソッドは使えない。


ぜひとも、どなたかに新しい魔球を開発してほしい。